特に自分に課した取り決めもなく、自由に世界を旅しています。よかったら
朝7時、変な咆哮で目が覚めた。
低くくぐもった少し長めの声だ。
同時にのしのしと草をかき分ける音も聞こえた。
熊スプレーと鈴を構えテントのチャックを開ける。
鈴をならすと、奥の木々の隙間から黒い生き物が一瞬見えた。
不機嫌に鼻をならす音とともにすぐどこかへ消えてしまった。
熊だったとしたら、四つ足をついて1mくらいのヒグマだろう。
見間違いという可能性もある。
真実はわからないが、ある程度急ぎ気味で片付けそこを後にした。
朝は弱いのでなかなか調子が出ないのだ。
朝食にただでもらったというレーションを食べてから、キャンプカーに乗り込む。
道を教えてくれると言っていたのだが、途中まで乗せていってくれるらしい。
いったんノースポールへもどり、スーパーで食料を買いだめたようだ。
しかしこのおっさん、うまく言いくるめて買い物の一部を帳消しにしていたような・・・気のせいだろうか。
やはり慣れた人と買い物に行くとなると、1人のときとは少し調子が違う。
なんかこう、全て勝手がわかってるような気分になる。
ついていくだけで完了するというのも楽でよい。
1人じゃ見過ごしてしまうコーナーもじっくり見れてなかなか勉強になった。
それから、ハイウェイを突き進む。
どうやらこの先のキャンプ場でまたキャンプする予定だったらしく、
お前も泊まってくだろ?
と言ってきた。
どうせだからごちそうになろうか。
↑途中で寄った土産屋の置物。木と骨をつなぎ合わせてできている
現金がないと言っていたのでキャンプ代20ドル払った。
これくらいは払う義務があるだろう。
本人はあとで返すからと言っていたが、きっと返ってこない。
まず、ATMがない。
ダニエルのフレンドリーさでオーナーとも仲良くなり、お隣さんとも食事をシェアする仲になった。
彼らもこちらにとても気を使って話しかけてくれ、特にお母さんがよく笑いかけてくれた。
その人はうちのおばさんによく似ていたので親しみが持てた。
その日は少し遅く寝た。
昼にホステルを出発。
キッチンに置いてあった泊まり客用のゲストブックには、これまでの自分の経緯とあまり役に立たない情報を昨日すでに書き込んである。
仲良くなった3人と別れの挨拶をできなかったのは心残りだ。
特にベル。
彼女には本当によくしてもらったから。
でもこれ以上のんびりできない。
オーナーのビリーと挨拶する。
彼女は
頑張ってね。
と言ったあと、やさしい小さな声で
それと、気をつけてね
と、ウインクしながら微笑んでくれた。
道を探しつつ前進。
すぐに肩とケツが痛くなるがとにかくスローペースでも走る。走る。
途中バーのような店の横を通った。
ほぼ車しか走っていないようなところなのに、飲み屋なんかがあって大丈夫なのだろうか。
その横に道を見つけたので行ってみる。
ハイウェイはなるたけ通りたくない。
そのまま脇道を直進すると地図で目をつけていた オールドリチャードソンハイウェイに出た。
我ながらいい勘だ。
ちなみにこの名前、看板ではOl. Rich.と略されていたので最初気がつかなかった。
ゲームのサガフロンティア2をやっていたからわかったものの、まったく。かっこいい略し方しやがって。
道をたどってノースポールに到着した。
サンタクロース通りにはキャンディケーンの街灯が並んでいる。ポップでかわいらしい。
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