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となりの国

特に自分に課した取り決めもなく、自由に世界を旅しています。よかったら

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最果てのまちと荒野

朝7時、変な咆哮で目が覚めた。

低くくぐもった少し長めの声だ。

同時にのしのしと草をかき分ける音も聞こえた。

熊スプレーと鈴を構えテントのチャックを開ける。

鈴をならすと、奥の木々の隙間から黒い生き物が一瞬見えた。

不機嫌に鼻をならす音とともにすぐどこかへ消えてしまった。

熊だったとしたら、四つ足をついて1mくらいのヒグマだろう。

見間違いという可能性もある。

真実はわからないが、ある程度急ぎ気味で片付けそこを後にした。

朝は弱いのでなかなか調子が出ないのだ。




今日も晴れ。
果てなく続く道をひたすら走る。



するとカップルのチャリダーとすれ違った。

男はイングランド、女はオーストラリア出身らしい。
どういう出会い方をしたのだろう。
そう疑問に思ったが、それを口にする英語を持ってはいなかった。


自転車をからかわれたあと、

また会うだろうからその時はハローって言おう

と言われ先に行ってしまった。



道は森から荒野のようになり、坂も厳しくなってきた。




ヘトヘトになってきたころ、また異国カップルに遭遇。
かなりゆっくりなペースで走っている。

走りながら二言三言話して、
ちょうど下り坂だったのでその勢いを利用するため一気に抜かして先へ進んだ。




5時頃トックに到着。

泊まる場所はたくさんあるのだが、気に入ったところが見つからない。

疲れきっていたのでキャンプをする気は起きない。
プライベートルームは高すぎる。

ホステルが1軒あるとビジターセンターの人はつっけんどんに言った。
値段は破格の$10。
迷っているとそこに連絡をしてくれた。

お礼を言うと、はいはいという顔をしながら次の客に視線を向けた。


せっかく連絡してくれたのだが、しかし非常に疲れていたのでわがままだが個室がいい。


結局高い中でも一番安いだろうモーテルに向かった。


そこのオフィスがわからなかったので、ちょうど外に出ていた泊まり客に聞いてみた。
すると親切にそこまで連れて行ってくれ、何度も大丈夫だったか見に来てくれた。



ここのモーテルは前のとは違い、狭いし冷蔵庫もコーヒーもついていない。

前回のが当たりだったのか、少しがっかりした。



風呂と洗濯を同時にし終わるとちょうどドアがノックされた。


びっくりして急いで服を着、出てみるとさっきの親切な泊まり客夫婦がいて、

一緒に食事しながら旅の話なんか聞きたいな

と言ってくれた。



食事と情報は魅力的だったが、ここは遠回しに断っておいた。

何度も言うが、尋常じゃなく疲れているのだ。
それにこの英語じゃ会話にはならず、最後は黙り合って終わるのが目に見えている。



買い出しにいったら前の街より値段が高かった。
街の人たちはこちらを変な目で見てくる。話し方も面倒くさそうだ。
デルタは気に入ってたが、この街は好きになれそうにない。



道すがら、カウボーイハットをかぶった初老の男がヒッチハイクしていた。
手に持つスケッチブックには「ドーソンシティ」と書かれていた。
大変だなーと思いながら、横を通り過ぎる。
疲れた顔をしていた。



ベッドに横になると両足がつった。




次の日も、初老の男はヒッチハイクをしていた。


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プロフィール

HN:
Rei
性別:
男性
自己紹介:
人嫌いがノープランで世界中を旅しています。