特に自分に課した取り決めもなく、自由に世界を旅しています。よかったら
サン・ミゲル・デ・アジェンデのホステルを出るため、荷物をまとめていると、
オーナーのおじさんが現れて少し微笑みながらあっさりと別れの挨拶をしてくれた。
いいホステルだったけど、ずっとここに居る訳にもいかない。
ということで、3泊で芸術の街を脱出しました。
街を出るとそこはまさにメキシコ!
カウボーイが馬に乗って颯爽と駆け抜けていそうな景色が広がります。
というか、実際ハットをかぶった人たちが馬を乗り回しているのをよく目にすることができます。
みなさん、ちょっとメキシコの景色を思い浮かべてください。
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いいですか?
その映像から、とりあえずソンブレロをかぶった3人組を取り除いてもらって、
コンクリートの道路を敷いて、
そのまわりに看板やら「bienvenidos! ~」(ようこそ!どこどこ)と書かれた村への木の門やらを多数配置してください。
まわりに低木をほどほどに生やしてもらって…
はい、その光景です。それでだいたい合ってます。
そんな景色の中を楽しく走り、途中ちょっと寄り道をしました。
アトトニルコ(Atotonilco)という小さな村なんですが、
そこが何とか文化財に指定されているらしいので覗きに行った次第です。
教会の天井絵を見てささっと戻ります。
村中で、ここら辺に住んでいるっぽいアメリカ人が英語で話しかけてきました。
この村の写真を撮っていたようです。
どうもWhere系の質問(どこから来た、どこへ行く、など)が英語でもスペイン語でも日本語でも苦手なので、
返答にいつも四苦八苦してしまうんですよねぇ。
そのままドロレスイダルゴという街へ。
通りがけのタコス屋で遅い昼食を。
高そうに見えたのですが、意外と安くて満足のいく手前くらいまで食べることができました。
いつもは腹5分目くらいで抑えています。
そこの店員達に声をかけられ、英語とスペイン語とジェスチャーで、
「気をつけてね」
「夜は絶対外に出るんじゃない。寝てなさい」
と釘をさされました。
どうやらここら辺は治安が悪いようですね。
そういえば、前からよく現地の人に「危なくないの?」とか「気をつけて」とか言われていたっけ。
やっぱり危険なのかなぁ。
お礼を言って、近場のホテルを覗いてみます。
けして高くはないがすごく安くもないところだったのですが、
ここは静かで安全です
と言われたので、ここに泊まることを決意。
そ、そんなに治安悪いの?
この日は軽く街を見回り、あとは部屋でゆっくりしていました。
次の日、街の中心部へ。
ここはメキシコの独立戦争を発祥地で、イダルゴ牧師という人が独立の声を初めて上げた土地なのだそうです。
独立戦争については、前にもアクルコという街で話を聞いていたので、なんとなく気になっていました。
それから街を出て、緑の看板(日本で言うところの青カン)をたよりにグアナフアトを目指します。
50kmだから今日中に着くだろうと、意気揚々と駆け出しました。
しかしこれが大誤算。
なんと道を間違えてしまっていたのです。
看板に騙された…
南東に行くはずが、南に向かっていました。
どうりで田舎道で山道のはずだ。
そして気づいたのは50kmほど走ったところ。
日も暮れてきて、もう後戻りはできません。
まあ景色はきれいだったので、そこまで悔いてはいませんが。
しょうがないので一か八か先へ進みます。
が、上り坂が多いため思うように距離を稼げずに時間が過ぎてしまいます。
進んだ先のT字路の角にあった商店でキャンプしてもいいか訪ねます。
OKが出ました。
危ないからと敷地内へ入れてくれ、中にいた犬のモンキース君に挨拶。
本物のメキシカンだという男の子(見た目高校生くらい、実際はもっと上かも)に、少し馬に乗せてもらいました。
鞍などなにもついていなかったのでどこを掴めばいいのかわからず、脚で挟めば太ももがつりそうになるし、メキシカンは馬を振り回すし。
↑この子に乗った
そんなことをしながら日が暮れてきました。
ここは家族が多いみたいで、色んな人が話しかけにきてくれます。
飲み物を買おうと敷地の門を出て商店へ。
この家のお父さんが優しい物腰で商品を見せてくれます。
パンとコーラを買ったあと、モンキースのそばで夕食を食べていると、
そこの男の子が
モンキースにはパンをあげないでね、もう食べ終わったから
と言い、その後も何か話していましたが、よくわかりませんでした。
店番のお父さんがこちらへ来て、1ℓの水をくれました。
いつかトラックの運ちゃんに絡まれた際に店のおばさんにもらった水と同じものでした。
これがメキシコでは1番有名なのでしょうか。
そしてお父さんがなにか言葉を言い、こちらが理解していないとわかると、肩を ポン と叩いてくれました。
その叩き方が本当に優しくて、ここにキャンプしてよかった、道を間違えてよかったという気持ちにさせてくれました。
きれいな夕焼けのあと、また雨が降ってきたのでテントに逃げ込みます。
雷が激しく鳴り怖くなったので、いったん屋根の下へ避難しました。
しかしそこはさすがメキシコ、待てば雨はやみます。
テントで動物や人の足音を聞きながら、警戒しつつ眠りについたのでした。
タイヤの心配をしつつ、ケレタロからサンミゲルデアジェンデへ向けて走り出す。
信号待ちの時に、おじさんが話しかけてきた。
11月の終わりに、マウンテンバイクでサンミゲルまで辿るサイクリングレースが開催されるらしい。
おじさんはその主催者で、それでこちらに興味を持ったという。
多少英語がしゃべれるようで、2人でカタコトの言葉を少し交わし、別れた。
町からはずれると、ハイウェイはまっすぐ延び、まわりは荒野につつまれる。
かといって自然しかないわけでもなく、レストランやコンビニやタコスの屋台が等間隔に並んでいる。
腹が減ったので、とちゅうのタコス屋で昼食を食べることにした。
タコスを注文すると、トイレで手を洗ってこいというジェスチャーをされる。
なるほど、屋台のタコスで腹痛になる原因は、手が汚れているせいもあるのかもしれない。
勉強になった。
3つ頼んだのだが、調理しているおじさんが気を利かせて3種類別々のものを出してくれた。
おいしいタコスを食べ終わり、会計を済ますと、店のお母さんが話しかけてきた。
それにつられて先客の男達3人に絡まれた。
彼らはトラックの運転手らしく、これから太平洋側の町まで行くらしい。
方角が一緒だったら乗せていってやるのに、
というようなことを言ったみたいだ。
が、なにぶんスペイン語がわからないので、真実は闇の中。
意思疎通ができないのになぜか気に入られたようで、ビールを1本おごってくれた。
3人の中の一人が小さな青リンゴをくれ、お母さんが大きめのペットボトルの水を手渡してくれた。
ビールで乾杯する。
が、言葉が通じないのですぐに無言になる。
3人が会話をし、たまにこちらへ振ってきてはあやふやに話が流れる。
危険な感じがしたが、何事もなくみんなと別れた。
ハイウェイから逸れ、山道へ入る。
サンミゲルまであと20kmというところで、夕方ちかくになっていたので
今日は田舎のモーテルで夜を明かすことにする。
少し離れた集落へ行ってどう見ても駄菓子屋の、商店兼レストランの入り口をくぐる。
そして飲み物とトルタ、朝食にする菓子パンを買った。
トルタ(ス)とは、メキシコの具沢山サンドイッチといったものだ。
四角いパンにトマトやキャベツ、肉もしくはソーセージ、ハラペーニョ、アボカドなどを挟み込む。
サブウェイのサンドを想像してもらうと近いかもしれない。
部屋に戻ってからトルタにかぶりつく。
これがめちゃくちゃうまい。
今まで食べたトルタの中で抜群に1番だ。
辛いのを抜いてくれたからというのもあるかもしれないが、
ソーセージから出る旨味が広がり、アボカドのマイルドなコクで全体がまとまっている。
マンゴーもそうだと前に書いたが、こちらのアボカドもまた、臭みが少なくとてもおいしい。
もっと食べたかったが、さすがに村とモーテルをもう一度走るには距離があったし、外も暗くなってしまった。
途中ちょっと具合が悪くなって(二日酔いともいう)、かなり時間を使いながら
ケレタロ(Queretaro)が見えてきた。
↑水道橋。有名らしい
↑作品名:銅像になった町人
↑宿を探す途中で寄ったクレープ屋より。中にマンゴーと黄色いチョコカスタード?が入ってる
地球の歩き方に書いてあった ククルク というホステルに着いた。
このガイドブックはメキシコシティのホステルにあったフリーボックス内からささっといただいたものだ。
なんとここではホステル会員証が使える!
この旅始まって以来のことだ。驚きだ。
元を取るにはまだまだかかりそうだが。
ここケレタロは確かに雰囲気が良くて好きだ。
街を歩けば3分おきに教会にぶつかるし、その脇に公園や広場がついてるのでのどかな散策ができる。
ソフトクリームも、メキシコシティで食べたのより数倍うまい。
北海道のものと対をはれるのではなかろうか。
雑貨やポンチョを売る店がたくさん並び、月曜と木曜はククルクのそばの通りでたくさんの雑貨売り露店が軒をそろえる。しかもなかなか安い。
そんな中自転車屋を探し、チューブとパッチを購入する。
道中なんどもタイヤがパンクし、正直げんなりしてしまっていた。
タイヤのゴム(名称わからない)ごと替えようか考えたが、高かったのでやめた。
↑屋台のチップを盗み食うリス。公園にはリスがたくさんいる
↑米からできたオルチャータという飲み物。おいしいが氷が入っているので腹痛に注意しよう。
これはイチゴ入りだった。平均価格は10ペソ
↑街並はこんな感じ。もっとカラフルできれいなところもあるよ
↑公園のひとつ。別日にはここにでっかいモニターが立ってサッカーをみんなで見てた
↑月と教会
↑こっちのスズメ。日本より荒っぽい柄でそんなに逃げない
↑またまた別の公園。教会がたくさんあるので、そのぶん公園も多い
↑お気に入りの教会「カテドラル」
↑上に大きめのステンドグラスがたくさんあるので、
↑日の入り方によって室内の色が変わる
↑外見はこのようになっている。静かでいいところだった
宿のサービスもよく英語もかなり通じる。
3泊したのだが、スペインの教授とアメリカ出身メキシコ在住の3Dアニメクリエイターと仲良くなった。
特にアニメクリエイターのKevan(キーヴンと読むらしい)は同い年で、夜にはビールをもらい漫画や日本語、忍者の話などをした。
ここまで話をした人はいないので、単純にうれしかった。
なかなか言葉が通じなかったり、日本人が好きになれなかったり(相手の嫌悪感が分かってしまう)、話が続かなかったり、
長々と話した人はあまりいなかったのだ。
出発当日からcut out festというアニメの祭りが始まったようで、もう少し居ようか考えたが、出発することにした。
キーヴンさんとは、ちゃんとサヨナラを言えなかったが、まあそんなもんでしょう。
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